グリズリー・ライフ

アメリカ生活や海外旅行でのTipsなど

Clubhouseへの期待と感想

「マストドン(もう誰も覚えていない)、インスタ、TikTokの時は乗り遅れてしまったが、今度こそはアーリーアダプトしてやる!」と思い立ち、早速始めてみた。始めた際(1/30)の期待と実際に使った感想を書く。

他人の議論を気軽に楽しむことができる

私は、他人が議論しているところを見るのが大好きだ。

Clubhouseでは、各roomごとに、テーマも目的も異なる会話が行われており、それをラジオやポッドキャストの様に気軽に楽しむことができる。

roomへのjoin, leaveの敷居が低く設計されていることが何よりうれしい。

また、知らない人たちが知らない内容を話している状況に飛び込むのは中毒的快感(覗き見的快楽?)を伴う。Twitter等でも他人の議論に触れることはできるが、リプライを辿っていくことで、そこに至るまでの文脈も「見えて」しまう。

Clubhouseでは今の所、ライブのみであり、それまでの内容や文脈は推測せざるを得ない。それがかえって面白い。

TwitterやFBなどの既存SNSと比べ、インフルエンサーな方々とディスカッションできるのではないかという(甘い)期待

Twitter等では、インフルエンサーな方々のフォロワー数は万オーダー。

一方、Clubhouseでは、およそ10分の1〜100分の1程度の印象(1/30時点)。

例えば、私が注目している1.3万人のフォロワー数を誇るマイクロインフルエンサー氏も、Clubhouseではたった64人のみ。

Clubhouseでは、raise handという機能があり、トークをしている人たちに「すみません、発言してもいいっすか?」と意思表示をすることができる。

Twitterでリプしても梨の礫だろうが、この人数ならひょっとして...そういった方々と直接議論できちゃったりするのか!?という期待があった。

 

...が、現実は甘くない。実際にいくつかルームに入って見たが、割と内輪、ハイコンテキストな会話をしているところが多く、raise handなど怖くてとてもできなかった...(上に書いた楽しさと表裏一体ではあるが)

 

自分はClubhouseの特徴を、上に書いたラジオ/ポッドキャスト的楽しさとともに、スピーカー(インフルエンサー)とオーディエンスの双方向かつリアルタイムなコミュニケーションを可能にすることだと勝手に考えていた。

しかし、どちらかというと双方向なのはスピーカー間のみで、オーディエンスは聞くのみであるように感じた(※ たった数個のルームで話を聞いただけの印象)。

スピーカー・モデレータの方もファシリテーションに戸惑っている感じはあったので、パネルディスカッションの様に、オーディエンスに質問を振る、とかアンケート的な仕組みが今後出てくると変わるのかもしれない。

 

ロシア旅行での注意点3つ

モスクワに計4日ほど旅行に行ったので、その経験を元に。

 

1.ロシア語やキリル文字が全くわからない状態でのひとり旅

事前に「ロシアでは英語は通じない」と聞いてはいたが、まさかここまでとは思わなかった…

国際空港の入国管理官や保安検査員ですら、英語が全くできないという人が普通にいます。しかも割と高圧的。覚えていろ、シェレメーチエヴォ国際空港。

TOEICの平均点は日本より高いはずだが、実感としては日本以上に英語が通じる可能性が低い。

若い人はそこそこの割合で英語ができる印象があるが、旅行中にヘルプを頼む方々(美術館や地下鉄の職員等)は年配の人が多い。こうなるともう、周囲で英語を喋れる人を探すか、ボディランゲージで戦うしかない。

特に厳しかったのが、地下鉄の利用。ホームの壁に駅名は書いてあるが、英語の記名はないため、本当に降りた駅が正しいのか不安だった。最低でもキリル文字と発音の対応は勉強していったほうが良いと思う。特に、вход(入口),выход(出口)の文字はよく見かけた。

なお、お腹が弱い自分は「トイレどこ?(Где туалет)」のみを集中的に発音練習したが、全く通じなかった。Гдеをつけるより、"トワレット"を連呼する方法に途中から切り替えたが、傍目から見るとすごく残念な人に見えたと思う

  

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英語表記?偉大なるロシアにそんなものは不要である。

 

2.空港からのUber/タクシーの利用

空港と市内を結ぶ高速鉄道(Aeroexpress)を利用した方が良い。

モスクワは予想以上に公共交通機関の治安が良かった。少なくともNYやサンフランシスコの地下鉄よりは安全に思う。

それに対して車(特にタクシー?)の運転はとんでもなく荒い(※)。

特にシェレメーチエヴォ空港から市内に乗ったタクシーはひどかった。

前の車を煽りまくり、ウィンカーを出さずに車線変更、すかさず相手の車のドライバーの顔を睨むの3連動作を完璧に実行するドライバーだった。ちょうど渡航中に煽り運転が日本で話題になっていたが、どこの国にも頭のおかしい人間はいる。

車のメーターは100キロ近くを指しているのに、なぜか前の車のナンバープレートについているシールがはっきり見えた。おそらく車間距離は5メートルくらいだったのではないかと思う。

スリルの大きさに対して、値段が手頃(1000ルーブル=1600円くらい)という点ではおすすめかもしれない。

 

※ 国別危険運転ランキングでは、ロシアは11位にランクインしている。

https://www.hotcars.com/ranking-the-top-20-countries-whose-drivers-cant-drive/

 

3.アパートタイプのホテルの利用

モスクワには、集合住宅(アパートメント)の一室を観光客に貸し出すタイプの宿が結構あるらしい。ホテルのレセプション等はなく、全てのやり取りはメッセージもしくは電話で行われる。なお、自分が泊まったホテルは、WhatsAppを持っていて、ロシア語/英語で電話できないと、部屋にすらたどり着けない仕様だった。

初見殺し過ぎるだろ…

airbnbとかではなく、Booking.comやAgoda等の予約サイトで普通のホテルっぽく載ってるからタチが悪い(特にアパートタイプのホテルといった記載はない)。

サイトでの評価はすごく高いのに、なんでこんな不案内なんだ、と思ってコメントを見るとコメントの大半がロシア人旅行者だったりする。ロシアでは一般的、もしくはそもそも外国人の利用を考慮にいれていないタイプの宿なのかもしれない。

 

 

ロシア語会話を学ぶためのYoutube動画(英語)まとめ

旅行のためロシア語を勉強しよう!と思いたちYoutubeで動画を漁ってみるも、日本語ではそんなに数がない。需要がないのか、そもそもロシア語の文法に関する記事もすごく少ない。

せっかくなので英語の勉強もかねて英語で動画を漁ってみた。

おすすめをいくつか挙げる。

 

1. Mari Johnson: RUSSIAN // Basic Words + Phrases for Travellers

個人的にもっとも知りたかった「トイレどこ?(ГДЕ ТУАЛЕТ?(グアジェ・トウイレット?))」の言い方が説明してあってポイントが高い。

発音の仕方も丁寧に解説してくれてる。

 

 

 2. 50 COMMON PHRASES IN RUSSIAN: BASIC RUSSIAN

英語の発音が分かりやすい。

だが、「そんな言葉旅行で使わんくない?」というフレーズが多いのが残念。

 

Прощай, товарищ !

TOEIC850から935まであげる為にやったこと

キャッチーさを狙ってタイトルをつけた。

自分はこれまで「TOEIC900オーバーを目指して〜」というブログをたくさん読んできた。TOEICの勉強していた時間よりそういったブログで勉強法を学んできた時間の方が長い自信がある。

その中であまり書かれてなさそうなこと、特にリスニング能力の向上について書きたいと思う。

1. リエゾンやリダクションのルールを勉強し、慣れること

リエゾンは、特にフランス語で有名だが、実は英語でもめちゃくちゃ重要。

(Wikiによると「リエゾン」は仏語において「語を単独では読む場合には発音されない語末の子音字が、直後に母音が続く場合に発音される現象」を指すようだが、ここでは単に連声をリエゾンと呼ぶ)

英語では(日本語でも?)単語の末尾の子音が次の単語の先頭の母音が繋がる。

例えば、When I am 〜 は”ウェン・アイ・アム”ではなく、”ウェナイアム”と繋がって聞こえる。

おそらく800点中盤をとれる人なら、文頭で”ウェナイアム”と聞けば、少し考えて「ああ、"When I am" のことね」とわかると思う。しかし、この一瞬思考している間に話が先に進んでしまい迷子になってしまうことがしばしばある。このようなリエゾンとなる音やフレーズのストックを持っていると、リスニングが向上する。

あと、リダクション。

これは単語末尾の子音が脱落してしまうこと。例えば、can'tのtや、thatの末尾のtなど。

耳が良い人はこういったリエゾンやリダクションのルールを知らなくても、自然に身につくのだろうけど、自分のようにあまり耳がよくない人は、ルールを学び、訓練する必要がある。

リダクションやリエゾンのルールについては、下の動画が大変役にたった。

 

 

 

さらにガッツリ訓練を積みたい人には以下の本がおすすめ。ちなみに根性なしの自分は途中で断念した。

西陰浩子:英語リスニングのお医者さん(https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%8C%BB%E8%80%85%E3%81%95%E3%82%93-%E9%9B%86%E4%B8%AD%E6%B2%BB%E7%99%82%E7%B7%A8-CD2%E6%9E%9A%E4%BB%98%E3%81%8D-%E8%A5%BF%E8%94%AD-%E6%B5%A9%E5%AD%90/dp/4789014711

 

2. 映画やアニメのレビューを聴く

これは映画好き限定かもしれない。

リスニング向上のために「洋画を見る」「海外ドラマを見る」といった方法が書かれていることが多いが、最低30分、長ければ2時間近く画面の前に拘束されるのは社会人としてはきつい(そもそも2度見しないと意味がないことも多いので、それ以上かかる)

自分は映画やアニメが好きなので、自分の知っている映画のレビュー動画をYoutubeで探して見ていた。長くても10分、2回繰り返しても20分ほどなのでかなりtime-efficientだ。

個人的には、TED動画よりも映画、アニメのレビュー動画の方が面白くて長続きした。

特に、下に挙げるChris Stuckmanの動画がおすすめ。

 

 

3. Meetupに行く(ベイエリア限定かも?)

アメリカのベイエリアだと、どの街でもだいたいJapan-English exchangeといって、英語を学ぶ日本人と、日本語を学ぶアメリカ人が話す場所があった。開かれる場所は喫茶店や教会など。Meetupというサイトでコミュニティを探せる。

お互いに教え合う、Give & Takeできる関係で英語を話せるのは自分のような豆腐メンタルにとってはとても向いていた。もちろんタフガイな心を持った皆様にもぜひ活用してほしいと思う。

日本にもそう行った場所はあるらしいが行ったことはない。

開発経験がないエンジニアがシリコンバレーで1年間チーム開発をした話

昨年度、1年と少しの間、米国のシリコンバレーでエンジニアとして働いた。

自分はエンジニアと言いつつも、日本では研究に近い業務をしていたので、プロトタイプの実装とかはやったことがあっても、チームでのプロダクト開発等はやったことがなかった。

しかも職場のコミュニケーションは全て英語。

そんな自分が、世界でもっとも技術力が高いと言われるシリコンバレーに放り込まれ、1年間どのように推移していったかを書いていきたい。

赴任開始時のスペックは以下の通りだった。

 

・英語力:TOEICスコアで平均850くらい。留学経験等なし。

・コーディングスキル:Pythonをはじめとしていくつかの言語が使える。研究でシミュレーションやプロトタイプを実装するためには使えるが,具体的なプロダクトを出した経験はなし。

・開発対象や周辺分野に関する知識:あり。仕様や機能に関するある程度の知識があった。これが無かったら死んでいたと思う。

・チーム開発に関する知識:ほぼなし。渡航前にツール(JIRAやGit)について少し本で勉強した。

 

1ヶ月目

到着した空港でUberと待ちあわせがうまく行かず、トラブルが発生する。ドライバーが「long 〜」としきりに言っているので、「長く待たせてわるかったねえ」的なことを言っているのかと思い、「No problem, HAHAHA」と返していたらブチギレられた。正しくは「Wrong place」だったらしい。強いスペイン訛りの英語とはいえ、自分の英語運用能力に早速自信がなくなる。

マンションや車などの生活インフラの整備、赴任先でのミーティングなどで大体1ヶ月目は終わった。

2ヶ月目

赴任先のメンターから「XX機能の開発をしてみない?」という打診がある。なお、この際「その機能5ヶ月後の展示会でデモするから」と言われる。

英語もおぼつかない人間にそんな大役まかせんだろ、と思い「アメリカ人特有のCheer upか?」とあまり本気に捉えていなかった。開発打診の際、隣に居合わせた同僚が「せっかくならPythonではなくGoで書いたら良いのでは?」とコメントをしたため、それまで使ったことがなかったGo言語を習得することとなり、開発難度が爆上がりすることとなる。

この時点では、「〜どうか?」という質問に対して論理立てて反論できる程度の英語力がなかったため、このコメントに対しても賛同する方向で話が進む(後にこの技術判断は正しかったことが分かる)。

3ヶ月目

先月依頼された内容のプロトタイプ的なものができたので、デモをすることになった。震える手でEnterキーを押すも、マシンがフリーズする。デモに期待していたメンターも同時にフリーズした。"I'm not sure why this issue happened though..."と言える英語力は身につきつつあるものの、だからと言って問題が解決するわけではない

この時期はまだ完全に一人で開発していたため、チーム開発感はなかった。

4ヶ月目

国際会議に参加し、以前参加した時よりも聞き取りは向上していることを実感する。相性の良いノンネイティブの発表であれば、単語レベルで8割ー9割は聞き取れる。以前は苦痛でしかなかった会議中のパーティでもある程度会話を楽しめるようになる。しかし肝心の自身の発表の質問者は最初ゼロだった(Chairmanが質問してくれた後はパラパラと質問があった)。英語のFluencyの問題と考え、Skype英会話の受講頻度を上げる。

淡々と開発を進める。

5ヶ月目

前月から英語が伸び悩んでいたので、気晴らしに日本語の小説(吉本ばなな)の英訳をする。これのせいかは不明だが、スピーキングにブレークスルーがあった。「ある日突然喋れるようになる」という感覚を少し掴んだ気がした。この時点で、メンターとの打ち合わせにおいても、一方向ではなく、ある程度対案の提示等ができるようになる。

6ヶ月目

通勤帰りにスーパーマーケットに寄るために路上パーキングに車を止めて戻ってくると、車が消えていた。付近に特に張り紙もない。近くにいた警備員に尋ねると、「今日はパレードがあるから牽引されたよ」とのこと。

警察に電話し、近所の小学校に牽引された車が集められていることを教えてもらう。聞き取った小学校の名前があっているか不安だったが、果たして車はそこにあった。この時ほど英語スキルの重要性が身に染みたことはない。

メンターに「来月のデモだけど、開発の進捗どう?」と聞かれる。あれ本気だったのか。この頃からデモ系へのマージのため、チームで開発することが増える。自分の技術レベルの低さに落ちこむことも増えるが、職場のエンジニア同士が「時間ないし、グローバル変数作って解決しよう」「What's a beautiful way !」みたいな会話をしているのを聞いて以降、そこまで自分を卑下することはなくなった。

7ヶ月目

前月から孤独感に苛まれ始め、日本から取り寄せたサルトルの「嘔吐」を読む。しかし、デモに向けた開発が忙しくなりすぎ、読み切るのを断念した。あまりに忙しく、「孤独とは」「生きる意味とは」などという高尚なことを考えている余裕はなくなる。結局デモ系が動いたのは、デモ担当者が飛行機に乗る12時間前だった。

締め切りという圧倒的な実存的目標の前に、開発者自身の悩みや憂鬱といったものは完全に無意味である。「嘔吐」を読み切ることはできなかったが、ある意味実存主義的な学びはあった。多分サルトルが言いたかったことは全く別だとは思うが、開発が終わったあと、それらの憂鬱は過ぎ去っていた。

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開発から逃亡して見に行った海

 

開発が終わる頃には、赴任先でも「XXの開発をやっている人」とある程度認識されるようにはなっており、チーム以外のメンバからも偶に技術的な質問を受けるようになる。日本の職場でもそうだが、自分が職場に明確なGiveができていて、かつ周囲がそれを認めてくれる状況になれば、精神的にかなり楽になる。この状態までどうやって早く持っていくかが海外赴任の鍵な気がする。

8ヶ月目 … 日本に一時帰国

この頃Skype英会話の受講時間の合計が100時間を超える。英語にある程度の自信がついてくるが、空港にて "Where's United Airline's counter ?"と質問して、"Oh, Singapore Air is there !"と何一つ合っていない応答が返ってくる程度には発音が悪い。

9ヶ月目

赴任中に開発したコンポーネントに関して国際会議で発表した。この時期になると、質疑応答には、文法的に破綻することなく余裕を持って答えられる程度にはなっていた。ただし、イントネーションやアクセントは完全に日本人のそれであり、未だカタコトの領域をでない。

これまで尻込んでいた職場の飲み会に初参加するが、意外にも楽しくコミュニケーションできたことに驚いた。

10ヶ月目〜11ヶ月目

もともと、大きな開発プロジェクトの一部として進めていた自身の開発が、別プロジェクトとして独立して進めることとなる。週一で4、5人のメンバが集まり、各自の課題や進捗を話し合う。

スピーキングに関して、赴任直後は発表前に15分ほど英語で何を喋るか考える必要があったものの、そこまで考えなくても会議中にフリーズせずに喋れる程度にはなっていた。この時期にリスニングの方にもブレークスルーが発生する。自プロジェクトの会議であれば、電話会議であっても議論されている内容の8割、9割が理解できる。また、会話中心のテレビドラマの3、4割は聞き取れるようになる。

12ヶ月目

関連プロジェクトの開発会議に参加する。リスニングにも自信がつき、大半は理解できるだろうと舐めていたところで鼻っ柱を叩き折られる。自分の専門ではない分野に関して議論が始まると、何を話しているのかすらわからない状態が続く。自分の聞き取り能力が、リスニング能力以上に専門知識に支えられているものであったことを痛感する。

月末に任期を終え帰国。帰国後TOEICを受けたところ、935点だった。赴任前の平均点が850ほどだったので、85点ほどあがったこととなる。

TOEIC850の日本人エンジニアがアメリカに海外赴任するとどうなるのか?

「そんな装備(英語力)で大丈夫か?」

米国への赴任前、よくこう自問自答をしていた。

赴任前のTOEICの平均スコアは約850(現在は935まで上がった)。

あるサイト(https://mysuki.jp/toeic-level-809)によると、「すぐにでも海外出張や赴任レベルとなります」らしい。

「そうか、大丈夫なのか」と何も考えず信じ切った私は、大した英語の勉強をせずに渡航(※1)。その結果を報告する。

渡航前の自分が問いかけてきたらこう言いたい。

大問題だっ!

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プレイしたことはない

1.会議

TOEICはマーク式のテストなので、850点のレベルだとリスニングの2割ほどは理解できていないことを意味する。通常の会話よりも、ゆっくり、明瞭に発音しているリスニング音声でこの状態な訳なので、実際の会議についていくのはかなりきつい。

赴任直後の状況を具体的に言うと、

・F2Fの会議で何をテーマに話しているかは分かる

・決定事項もある程度は分かるが、なぜそういった結論に至ったかは分からないことが多い

・自分にされる質問に対して、3、4回に一回は「Sorry ?」とか「Could you say it again ?」と聞き返す

・電話会議だと、こちらに対する質問に気づかないことがある

・会議でなんらかの発表をする際は、発表前に20分ほどかけて、喋る内容を頭の中で整理する必要がある

 

2.一対一の技術ディスカッション

自分は、職場のメンター的なポジションの方と、週一ほどで開発内容のミーティングしていた。

・明瞭な指示や相手のいっている方向性は分かる

・細かな部分に関しては齟齬が発生することも多いので、後で改めて質問することがしばしばある。慣れないフレーズが多いので、テンパることも多い。"spawn containers(※2)"と言われ、何度か聞き返したことがある

・こちらのスピーキング能力がないため、自分が質問→相手が説明、という一方向のコミュニケーションになりがち。また、こちらが喋る時も論理的に組み立てられていないため、つたわらない(It does not make senseとにべなく言われる)

 

3.ランチタイムなどでの日常会話

・会話の3割くらいは理解できるが、ジョーク等はきつい

・自分が発言すると、場の会話進行を阻害する気がするので話せない

 

結論

日本人の理系人材(研究者やエンジニア)が海外に行く際、英語ができなくても「技術があれば問題ない」「研究能力があれば問題ない」という意識があるのではないかと思う。少なくとも自分にはあった。

しかし、研究や開発は技術や研究能力のみで進めていけるものではない。スタートする前には、5W1Hを周囲に論理立てて説明、場合によっては説得する必要がある。なぜこの箇所を開発するのか、なぜプランAではなくBをとるのか、スケジュールは…etc..

スピーキングだけでなく、トラブルシューティングの時には相手の論理を理解するリスニングスキルも必須である。

上記の要求を満たすのに、TOEIC 850レベルだとかなり厳しい、というのが自分の感想だった。日系企業の海外支店等、日本語話者が多い職場ではまた違うのかもしれない。しばしば「TOEICが低くてもやっていけた」という話がしばしばネットには書かれているが、残念ながら自分には想像できない。

これから英語圏に海外赴任に行かれる方は、TOEICのリスニングセクション9割超え+αを目標、およびスピーキングの訓練を積んでから渡航されることをオススメしたい。

 

(※ 1)正確に言えば、ボキャビルとリスニングの訓練はそこそこにしていた。「スピーキングは行けばなんとかなるやろ」と舐めていたのが非常にまずかった。

(※ 2) spawnは産卵すると言う意味だが、複数のコンテナ等を立ち上げる時にこのように言うことがある

アメリカで住居を選ぶ時、気をつけるべきこと

渡米して以降、1年近く今のアパートメントに住んでいるが、いくつかのトラブルに遭った。住居選びに時にしてよかったこと、またするべきだったことを書こうと思う。

 Yelpを参照していてよかった

不動産屋に勧められるままにホイホイと契約する寸前、念のため参照にしていてよかった。Yelpは食べログのような総合評価サイトで、面白いことにアパートメントやホテルの評価も載っている。契約しかけていた物件の評価が恐ろしく低かったので、取り消してよかったと思っている。

アメリカでは日本では見られないようなトラブル(「芝刈りの音がうるさくて寝られない」「自転車が頻繁に盗まれる」など)も発生しうるので、非常に参考になった。信頼性は不明で、Yelpで評価が高いからと言って実際に良い物件とは限らない。とは言え、明らかにヤバめの物件は避けられるのではないかと思う。

リノベーションの予定について聞いておくべきだった

自分の住んでいるアパートは、頻繁にリノベーション工事が行われており、一時期かなり苦しまされた。現在、サンフランシスコ、ベイエリアの家賃は全米一と言われるほど高騰している。各アパートメントのオーナーは、高騰する家賃に見合う価値を住居者に提供するため(悪く言えば家賃を釣り上げる口実として)リノベーションをやりたがる、という噂も聞いたことがある。

住居選びの際見学したいくつかのアパートも、「床を張り替えたばかり」「現在リノベーション中」というものが多かった。当時はラッキーとしか思わなかったが、裏を返せば頻繁に騒音が周囲で発生するということだ。

日本と比べ、(少なくとも私のアパートでは)通知等も極めて遅い。工事の一週間、ひどい場合は数日前に「これから1ヶ月間、隣の部屋で轟音が鳴り響くけどすまん」みたいなメールが送られてくるだけだ。私の場合、このせいで休暇の予定を直前で変更することになった。

特に駐在員の場合、深夜まで日本とミーティングがあったあと、早朝から鳴り響くドリルとハンマーの音で目を覚ますというのは地獄でしかない。仕事を含めた生活全てが壊滅してしまう可能性もあるので、絶対に入居時に確認することをオススメする。